私が大学院生だった頃、管理栄養士の先生の授業を受ける機会がありました。

その中で、私が興味を持ったのは、小児期からの生活習慣の積み重ねが、やがて成人の生活習慣病に影響するというお話です。

それは、歯科とも非常に関係が深く、大切なことだと思ったので、今回、改めて調べてみることにしました。

食べた物で身体が作られる

私たち、さわやか歯科では、”子どもたちが自分の夢を叶えられるような身体作り”を目指して、診療を行っています。

そのため、むし歯予防はもちろんですが、子どもたちがスクスク育つようにと、食生活をはじめとした生活習慣の話もしています。

むし歯予防のためには、3度の食事をしっかり食べて、適度な間食、飲み物はお茶かお水にすることが大切だと話していますが、それはむし歯予防の目的のためだけではありません。

例えば、お砂糖が入ったお菓子や飲み物の取り過ぎや、だらだら食べなど、乱れた食生活を続けていると、数ヶ月で歯に穴があき、むし歯ができます。

むし歯ができた時に、削って詰めてむし歯治療を行うと、一旦、歯は修復されます。しかし、その食生活を続けていると、むし歯の再発はもちろんですが、小児肥満にも繋がります。

そして、小児期からの乱れた食生活を継続することで、やがて、何十年も経ってから、成人の生活習慣病へと繋がる可能性があるのです。

そこで大切なのは、まずは、むし歯ができた場合に、“今の食生活を振り返って考える”ことです。

ライフコースアプローチとは

生まれてから死ぬまでの流れは、ライフステージや、ライフサイクルという言葉でよく表現されています。

ライフステージとは、それぞれのステージの階段を上がるようなイメージで、ある程度明確に境界を持って区別されています。

そして、ライフサイクルとは、その連続とされています。

それに対し、ライフコースとは、幼少期から学童期、思春期、成人を経て高齢になるまで、人生を通じて、そして世代をまたいでの、(遺伝的要因を含めた)生物学的要因、行動学的要因、社会学的要因が健康に対して、独立・累積・相互作用しながら与える影響を探求するアプローチという風に考えられています。

また、幼少期だけではなく、生まれてくる前の胎内での環境も含めて、それぞれが連続して積み重なり、良い方にも、悪い方にも影響していくというものです。

小児期から生活習慣を整えることが大切

例えば、肥満の人に対して、「食べ過ぎたり、飲み過ぎたりしているから太ったんじゃない?」というだけではなく、様々な角度から見た時に、もっと色んな要因が複雑に絡み合って肥満になったのではないか、ということが考えられます。

乳幼児期の肥満は、そのまま学童期の肥満へ、さらには成人期の肥満へと移行しやすいことが知られています。

また、肥満は、高血圧、心疾患、脳血管疾患などの循環器疾患のリスク因子となるため、やはり、小児期からの肥満対策が必要です。

(今回は食生活のことについて書いていますが、食生活だけでなく、睡眠や運動など、生活習慣全般に関わってきます。)

成人期以降に発症する生活習慣病などの疾患のリスクには、必ずしも成人期以降の生活習慣だけが影響しているわけではありません。

“自分の夢を叶えられるような身体作り”のためには、今どんな生活習慣が望ましいか?を、子どもたちと一緒に考えていきたいと思っています。

歯科衛生士 辰巳光世

【参考文献】
1)Fair society, healthy lives. The Marmot Review. 2010.
2)大木 秀一, 彦 聖美. ライフコース疫学研究の興隆と展望. 石川看護雑誌. 2012; 9: 1-10.