低年齢の子どもがいらっしゃる方、また、低年齢の子どもに歯磨き指導をされている方にお聞きします。

皆さんは、どのように子どもたちに歯磨きを教えていますか?

今回は、“低年齢の子どもへの効果的な歯磨きの教え方”について、おもしろい論文を見つけましたのでご紹介します。

「就学前の子どもたちへの効果的な歯磨き指導」

この研究は、低年齢の子どもに対し、どんな歯磨き指導が効果的か?を検証するために、2011年にドイツで行われました。

歯磨きは、お口の健康を保つためには必要不可欠なものなので、歯磨きの頻度や、歯磨きの時間などに関して、今までにも様々な研究が行われてきました。

しかし、歯磨きの学習プロセスに関する研究というのは少なく、低年齢の子どもたちにどのような指導を行えば良いかということは、明らかにされていませんでした。

そこで、この研究では、今まで歯磨き指導を受けたことがない、2歳5か月~4歳2か月の小児141名を4つのグループに分けて、“どの歯磨き指導が効果的か”という実験が行われました。

4つのグループに分けて歯磨き指導

グループ1では、大きな歯の模型を使って、歯磨きの指導を行いました。

グループ2では、パペット(口の中に歯の模型がある動物の人形)を使って、歯磨きの指導を行いました。

グループ3では、鏡の前で子どもが自分自身をモデルとして、歯磨きを行いました。

グループ4では、鏡の前で平行に座った状態の大人が、子どものモデルとして歯磨きを行いました。

さて、この4つの方法で歯磨き指導を行った場合、皆さんだったら、どの方法がもっとも効果的だったと思われますか?

結果は・・・

グループ4の、“鏡の前で、大人が子どものモデルとして歯磨きする”という方法が最も効果的だったという結果となりました!

また、グループ3とグループ4の子どもたちは歯磨き動作を習得できたそうですが、グループ1とグループ2の子どもたちは、歯磨き動作を習得できませんでした。

その理由として、“類似性(モデルとなる人と自分とを当てはめることができるか)が重要”と説明されています。

子どもが、モデルと自分とを同一視するほど、歯磨きの模倣が上手くできる可能性が高くなるそうです。

歯の模型やパペットでは、自分と同一視することが難しかったため、歯磨き動作を習得することができませんでした。しかし、人間のモデルだと、自分と同一視することができたので、歯磨き動作を習得することができた、ということですね。

(グループ1では、大きな歯の模型を見たとき、子どもたちは「わぁ!」っとなるのですが、それを実際に自分の歯と同じように見立てて、歯磨きをするというのは難しかったそうです。)

そして、その人間のモデルは、子どもにとって魅力的なモデルである(例えば保護者、幼稚園の先生、年長の兄弟など)ことも重要です。

魅力的な大人が鏡の前で平行して歯磨きを行い、子どもはそれを模倣しながら歯磨きをし、鏡を通して自分自身をフィードバックすること

その繰り返しで、歯磨きが上達していくのですね。

私も実際に試してみました。

私の娘は小学1年生ですが、娘と隣に並んで鏡の前に座り(立って歯磨きをすると、歯ブラシをくわえたまま転倒する可能性があるので、必ず座って行ってくださいね)、私が磨くところを見せて解説しながら、一緒に歯磨きしてみました。

すると、娘も私と同じように一通り上手に磨くことができ、「楽しかった!」と嬉しそうにしていました。

鏡の中の自分を認識し、歯磨き動作ができるようになっていくのは2歳頃からだそうです。

是非、皆さんも試してみてはいかがでしょうか。

歯科衛生士 辰巳光世

【参考文献】
Makuch A, Reschke K, Rupf S. Effective teaching of tooth-brushing to preschool children. J Dent Child. 2011; 78(1): 9-12.