早いお子さんでは、幼稚園の年中(5歳くらい)で、下の乳中切歯(前歯)がグラグラと揺れだし、歯の生えかわりが始まる場合もあるのではないでしょうか。

日本人の小児における、永久歯の生える時期と生える順序については、今から約30年前の1988年に小児歯科学会が発表した調査結果が、日本人の標準値として現在も利用されています。

しかし、30年も経てば、歯の生える時期にも変化が生じている可能性があると考えられます。

そこで今回は、子どもの永久歯の生える時期について、2019年に小児歯科学会から発表された最新の調査結果をご紹介します

永久歯は全部で何本?

永久歯は上下14本ずつ、合計28本あります。さらに、親知らずとも呼ばれる第三大臼歯(8)4本を含めると、合計32本になります。(第三大臼歯(8)は、必ずしも全員にあるわけではありません。)

また、それぞれの歯には名前がついていて、私たち歯科医療従事者は、それぞれの歯を前歯から、1、2、3、4、5、6、7、8と呼んだりもします

永久歯が早く生えるのは、男の子?女の子?

日本小児歯科学会の調査結果によると、すべての永久歯において、女の子の方が、歯の生える時期が早い傾向がみられたと報告されています。

しかし、上下の第二小臼歯(5)、上の第一大臼歯(6)および上下の第二大臼歯(7)においては、男女差は認められませんでした。

最初に生える永久歯は、下の中切歯(1)!

多くの場合、5歳5か月~7歳0か月頃に、下の乳中切歯(A)がグラグラと揺れだし、抜けた後に、下の中切歯(1)が生えてきます。(生えかわりがうまくいかず、乳中切歯(A)が抜ける前に後ろ側から、中切歯(1)が生えてくることもあります。)

また、30年前の調査結果(平均値)と比較すると、下の中切歯(1)が生える時期が、男の子は6歳3か月(30年前の調査では6歳3か月)、女の子は6歳0か月(30年前の調査では6歳1か月)と、女の子では約1か月早くなっていることが報告されました。

また、男の子よりも、女の子の方が約3か月早く生えたことがわかりました。

次に、下の第一大臼歯(6歳臼歯、6)が生えてきます

次に、5歳6か月~7歳6か月頃、6歳臼歯とも呼ばれる下の第一大臼歯(6)が、下の第二乳臼歯(E)の後ろ側から、歯ぐきを突き破って生えてきます。

30年前の調査結果と比較すると、下の第一大臼歯(6)が生える時期が、男の子は6歳8か月(30年前の調査では6歳5か月)、女の子は6歳3か月(30年前の調査では6歳2か月)と、男の子では3か月、女の子では1か月遅くなっていたことがわかりました。

前歯上下4本ずつが生えかわり、上の第一大臼歯(6)も生えてくる

そして、6歳3か月~7歳10か月頃上の中切歯(1)6歳3か月~8歳3か月頃下の側切歯(2)が生えかわります。

次に、5歳10か月~8歳7か月頃上の第一大臼歯(6)が生えて、7歳2か月~9歳2か月頃上の側切歯(2)が生えかわったら、乳歯から永久歯への歯の交換は、一旦落ち着きます。

続いて、奥歯、犬歯も生えてくる

上下の前歯4本ずつ(1,2)と第一大臼歯(6)が生えそろうと、次は8歳8か月~11歳3か月頃下の犬歯(3)が、8歳11か月~11歳7か月頃上の第一小臼歯(4)が、9歳1か月~11歳6か月頃下の第一小臼歯(4)が、9歳2か月~12歳1か月頃上の犬歯(3)が、10歳1か月~13歳2か月頃上下の第二小臼歯(5)が生えてきます。

30年前と比較すると、第一小臼歯(4)の生える時期が、男の子は3~4か月、女の子は6~8か月遅くなっています。

また、第二小臼歯(5)の生える時期も、男の子は4~8か月、女の子は11か月遅くなっており、男女ともに奥歯が生える時期が遅くなっていることが示されました。

最後に、一番奥の歯が生えたら、永久歯列が完成!

そして、11歳2か月~13歳10か月頃下の第二大臼歯(7)が、11歳9か月~14歳5か月頃上の第二大臼歯(7)が生えたら、永久歯列は完成です!

永久歯の“標準萌出期間”とは

今回、日本小児歯科学会から発表された歯の生える時期の調査結果は、“平均値”ではなく、“標準萌出期間(平均値±1SD)”として発表されました。

今までの調査結果では、歯の萌出の目安として、“平均値”が示されていたのですが、今回の調査結果では“平均萌出期間”が示されるようになったのは、歯が生える時期の個人差が広がり、ばらつきが大きくなってきたことが理由のひとつとしてあげられます。

過去の調査結果との比較

過去の調査結果と比較し、歯の生える順番で大きく変化したことをまとめます。

まず、最初に生える永久歯についてですが、中切歯(1)が先に生えるタイプをI型第一大臼歯(6)が先に生えるタイプをM型といいます。(切歯のことをincisor、臼歯のことをmolarと言うので、最初のアルファベットを用いてタイプ分けされています。)

実は、80年前に行われた調査結果では、男女ともに一番最初に生えてくる永久歯は、第一大臼歯が1位でほとんどがM型だったのですが、30年前からは最初に生える永久歯は中切歯(1)が半数を越えるようになり、I型が増えてきました

今回は、中切歯の萌出が早くなったこと(特に女の子)、そして第一大臼歯(6)の萌出が遅くなったことから、I型の割合がさらに増えたと考えられます。

また、永久歯の生える時期は男女ともに、前歯(1)が早くなり、奥歯(4,5,6,7)が遅くなり、“生え代わりの期間”が延長していることも明らかとなりました。

歯が生える時期には個人差があるので心配しないで!

歯の萌出時期は、子どものお口の発育の指標となります。

また、子どもをもつ保護者の育児不安として、「子どもが正常に発育しているか」という健康面についての内容が多いと言われており、歯が生える時期や順序についても情報を正しく伝えることは、育児不安を軽減させ、ひいては子どもの健全な育成に役立つものと考えられます。

一方で、「うちの子はもっと早く生えてきた」「なかなか歯が生えてこなくて心配」などと気にされる保護者の方もいらっしゃると思います。しかし、萌出時期というのはあくまでも目安です

過度に心配しすぎる必要はありませんが、目安の時期を過ぎてもなかなか生えてこない場合は、専門家に相談してくださいね。

さわやか歯科では、なぜなかなか永久歯が生えてこないのか、原因を一緒に考えます。

一緒に、お子さんの成長を見守っていきましょう。

歯科衛生士 辰巳光世

【参考文献】
1) 日本小児歯科学会.日本人小児における乳歯・永久歯の萌出時期に関する調査研究. 小児歯科雑誌. 1988; 26(1): 1-18.
2) 日本小児歯科学会. 日本人小児における乳歯・永久歯の萌出時期に関する調査研究Ⅱ-その2. 永久歯について-. 小児歯科学雑誌. 2019; 57(3): 363-373.