歯科では以前から、口呼吸の弊害について様々なことが言われており、さわやか歯科でも日頃から患者さんに鼻呼吸の大切さを伝えています。

以前、耳鼻咽喉科の先生とお話しする機会があり、教えていただいた事があります。

「鼻は呼吸器、口は消化器だからね。」

それを聞いて、私はハッとしました。

たしかに人間は、鼻でも口でも呼吸はできます。

しかし、そもそも鼻と口、それぞれの役割はまったく別物で、鼻で呼吸ができない時に、口が呼吸を補っているだけにすぎないのです。

鼻づまりはありませんか?

最近では、子どもの口呼吸を気にされている保護者の方が多くなったと感じます。

「口を閉じるようにいつも言ってるんですけど、なかなか閉じられなくて。」と相談を受けます。

そこで、「アレルギーや鼻づまりはありませんか?」と聞くと、「ないと思います。」と回答されることも多いです。

しかし、実際子どもに口を閉じてもらい、鼻呼吸出来ているかチェックしてみると、だんだん苦しくなってきて、最終的には口が開いてしまう場合もあります。

その時に初めて、「あれ?もしかして、鼻で呼吸するのが苦しかったの?」と気づきます。

口呼吸には気づいていても、鼻づまりには気づきにくのかもしれません。

鼻づまりがあると、いくら言葉で伝えても、口を閉じて鼻呼吸ができないのです。

また、鼻づまりなどの原因により、口呼吸の習慣があると、顎の成長に影響を及ぼすと言われています。

子どもの鼻づまりを放っておくと~歯並びとの関係~

今回は、アカゲザルを用いて行われた、鼻づまりと顎の成長に関する研究をご紹介します。

1981年、カリフォルニア大学のHarvoldらによって行われたサルを用いた動物実験により、鼻づまりが顎の骨や上気道の発育を阻害するという研究結果が報告されました。

成長期のサルに対し、シリコン製の鼻栓をして、鼻づまりの状況を意図的に作り、数年後に顎の状態などを調査したという実験です。

鼻栓をしたサルは、鼻が閉塞したため、すべて口で呼吸をしました。

また、呼吸しやすくするため、舌を出しているサルも見られました。

一方、鼻栓をしなかったサルは、ほとんどの時間、口を閉じて鼻呼吸していました。

そして数年後、鼻栓をしたサルは、顎の骨や上気道の発育が阻害され、様々な種類の歯列不正が生じました。

そして、鼻栓をしなかったサルの歯列は、正常に発育しました。

耳鼻咽喉科への受診の勧め

このようなことは、成長期の子どもでも起こっています。

鼻づまりなどの原因によって口呼吸が習慣化すると、成長期の子どもの顎の発達が妨げられます。

顎の発達が妨げられると、顎に歯が並びきらなくなるため、歯並びは悪くなってしまいます。

そこで、さわやか歯科では鼻づまりなどによる口呼吸が考えられる場合には、耳鼻咽喉科への受診を勧めています。

特に、矯正治療を行っている子どもたちの場合には、鼻呼吸ができないと、治療がうまく進まないからです。

まずは、鼻がづまりがないか、確認してみましょう。

【参考文献】
1)黄川田徹. 鼻専門医が教える「熟睡」を手にする再考の方法. 日本経済新聞出版. 2021.
2)Harvold EP, Tomer BS, Vargervik K, Chierici G. Primate experiments on oral respiration. Am J Orthod. 1981; 79(4): 359-72.

歯科衛生士 辰巳光世